「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称であり、2015年9月に国連サミットで採択された国際社会共通の目標のことです。基本理念は「誰一人取り残さない」ことで、持続可能な世界の実現を目指し、貧困や飢餓、工ネルギーや環境問題などの課題を解決していくために作られました。
SDGsは17のゴール(目指す姿)と、ゴールを達成するための169のターゲット(具体的な達成基準)が設定され、目標達成は2030年までとされています。
SDGsの「誰一人取り残さない」という基本理念は、
協同組合の「一人は万人のために、万人は一人のために」といった相互扶助の精神と深く繋がっています。
利潤の追求を目的としない協同組合は、地域の人々の協カ・理解が無ければ存続できないため、
地域コミュニティと一体である必要があります。
そして、その地域コミュニティへ向けた取り組みが、SDGsの目標達成のために大きく貢献していることから、
協同組合はSDGs実現の重要なパートナーとして位置づけられています。
協同組合のーつである「JA」の綱領の中にも、SDGsに関連した内容が盛り込まれています。
わたしたちJAの組合員・役職員は、協同組合運動の基本的な定義・価値・原則
(自主、自立、参加、民主的運営、公正、連帯等)に基づき行動します。
そして地球的視野に立って環境変化を見通し、組織・事業・経営の革新をはかります。
さらに、地域・全国・世界の協同組合の仲間と連携し、より民主的で公正な社会の実現に努めます。
このため、わたしたちは次のことを通じ、農業と地域社会に根ざした
組織としての社会的役割を誠実に果たします。
「JA綱領」は、それまでの「協同組合綱領」を改め、1997年第21回JA全国大会で新たに決議されました。
1~16までの目標は、単一組織でも取り組める内容ですが、グループ組織や関係機関、行政と連携しー緒に取り組むことで、より一層目標達成に近づくことができます。
協同組合の精神に則り、JAグループが一丸となり同一の目的に向かって事業を行うことは、この目標の達成に最も貢献できる取り組みだと言えます。
貧困とは、単に持続可能な生計を確保するための所得と資源がないことではありません。貧困は飢餓や栄養不良なども含まれます。
日本でも7人に1人の子どもが貧困だと言われています。
JAおとふけでは、食料生産のほか、地域に根付いた事業により、貧困の回避に向けた取り組みを行っています。
世界では、9人に1人が栄養失調に陥っている状況でありながら、人口は増加しています。
また、日本国内では食料自給率(力口リーベース)は38%といまだに低い状況で海外依存度が高く、人口の急激な増加などにより世界規模で飢餓が発生した場合、国民に充分な食料が行き渡らない可能性があります。
JAおとふけでは、全ての国民へ安全・安心な食料を供給していくため、安定した食料生産に努めています。
世界では、毎年500万人を超える子どもたちが、5歳を迎える前に亡くなっています。
日本国内では、へき地などの人口過疎地ほど、福祉の提供サービスは低下している状況です。
JAおとふけでは、JA共済による保険サービスの提供や組合員を対象とした人間ドックの受診支援(検診料の一部を助成)など、組合員の健康と生活に関わる取り組みを実施しています。
「包摂的」とは、「すべてを包み込む」という意昧です。世界では、いまだに15歳以上でも読み書きできない人が約7億5000万人もいると言われています。
JAおとふけでは、地域の農業や「食」についての知識を地元の学生や親子に知ってもらうために、食農教育事業や農業体験のほか、都心の消費者や学生などを対象とした農業体験・産地交流などを実施しています。
また、組合員に対して各種視察研修の機会を提供し、参加の負担を抑えるため、研修費の一部を助成しています。
世界では、女性というだけで教育を受けられない、少女のうちから結婚や出産を強要される国はいまだに多くあります。
農村地域の存続のためには、農業を支える女性の存在は不可欠であり、女性が営農に対して活発的に取り組めるような支援や事業を行う必要があります。
JAおとふけでは、女性部活動の支援のほか、懇談会などで意見を聞くなど、女性農業者のJA事業参画に力を入れています。
世界では、いまだに約22億人(2017年)が安全に管理された飲み水を入手できていません。
日本では上水処理が管理されているため、今は飲み水に困ることはありませんが、汚染水の排水は看過できず、農業においても、家畜に使用する水や農業用水を使用し続けるため、汚水問題は解決する必要があります。
JAおとふけでは、人参や長芋の撰別工程で発生する排水を、処理施設で河川放流基準の水質まで改善した上で、一般河川へ放流しています。
現在、世界では約8億4000万人が電力にアクセスできていません。エネルギー源の多くは石油や石炭、天然ガスですが、これらは有限の資源であり、温室効果ガス発生の一因にもなっています。
日本でも、東日本大震災の原子力発電所の事故により、自然エネルギーの利用に注目が集まりました。
JAおとふけでは、家畜ふん尿や撰別施設から出る野菜の規格外品などの有機物を電気エネルギーへ変換する、バイオガスプラントの運用を行っており、再生可能エネルギー拡大に寄与し、持続可能なエネルギー供給を実施しています。
日本などの先進国では、過労死問題のほか女性や高齢者、障害者、外国人といった立場の弱い人たちが賃金や労働環境などで不利な待遇を受けています。経済成長を持続させるためには、すべての人々に生産的な完全雇用とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会を提供することが必要だとされています。
JAおとふけでは、組合員の営農支援はもちろん、農業を持続化させるために後継者育成や金融サービスの提供による資金運用支援を行っています。
※包摂的・・・すべてを包み込むこと
「レジリエント」とは、「柔軟性」や「しなやかさ」、「インフラ」は上下水道や道路、電力網、通信施設といった公共的な設備、そして「イノベーション」 は「新しい活用法」のことです。
生活に欠かせないインフラの強化と整備を行い、安定した産業化を図ることで、人々の生活が豊かになります。
JAおとふけでは、安全で高品質な食料の生産工程の「見える化」や、農業におけるICT技術の普及推進、調製撰別施設において最新の撰別機材を導入するなど、安定した食料生産に努めています。
どの国でも年齢や差別、人種、宗教、貧富の差による不平等は存在し、日本においても非正規雇用者、障害者、性的少数者などの生きにくさを感じている人は多くいます。
JAおとふけでは、女性のジェンダー平等のため、女性農業者がJA事業に積極的に参画できる事業の企画のほか、農業の初心者や女性でも自主的に営農に取り組めるよう、ICT先進技術の普及推進にも力を入れています。また、協同組合の原則である「一人一票制」も貧富の差に左右されない平等的な制度です。
主な先進国では都市中心化が進んでおり、日本においても都心に人口が集中し、都心では住宅やインフラ整備不足、農村などの田舎では過疎化が起こるなどが問題となっています。
持続可能な農業を営むためには、農村の過疎化は重大な課題であり、人口・産業の都市中心化を防ぐには、住みよいまちづくりに取り組み、農村地域を活性化させる必要があります。
JAおとふけでは、消費者との交流や広報誌の発刊・ホームページの公開による農村の魅力発信に努めています。
また、ブランド化・販売推進による「おとふけ」の知名度アップや環境保護活動にも取り組んでいます。
消費と生産のサイクルを持続させるためには、適度な消費量の確保と無駄のない生産方法の確立が重要です。しかし、現状では大量の資源を使用して大量のものを生産し、消費が追いつかず大量に廃棄しています。このままでは、いずれはエネルギー資源が枯渇し、求められる消費(需要)を賄えない生産(供給)へと逆転してしまいます。
JAおとふけでは、農業生産における低コスト化の推進のほか、廃プラスチックや農薬空容器の回収による資源のリサイクルなどを行い、生産における資源・環境ロスを低減させる取り組みを実施しています。
また、産地交流や産地活性化支援に取り組み、消費推進による廃棄口ス削減にも努めています。
気候変動による影響は、非常にグローバルな課題です。世界では地球温暖化が原因となり、海面上昇が進み国土が減少する国が存在するなど、著しい問題となっています。特に、農業は自然と共にある産業ですので、気候変動に対応した技術の開発・推進・実施に努める必要があります。
JAおとふけでは、長期間の降雨による湿害の回避のため、補助事業を活用した暗渠排水工事を行っています。
また、機械の大型化により踏み固められた畑の排水性を改善させるため、心土破砕の推進や、有機肥料散布の推進を行っています。
その他にも、施設の主要な冷蔵倉庫に新たな省エネ型自然冷媒機器等を導入する「脱フロン」への取り組みにより、オゾン層の保護と地球温暖化対策の両方に貢献します。
海洋は私たちの水源、食料の源となるほか、気温の冷却効果など、生物が 生きるために欠かせない様々な役割を担っています。
その海洋がエ業の発展により今日に至るまで日々汚染されている状況です。汚染された環境で育った魚介類が私たちの食料となるため、緊急の対策をとる必要があります。
日本では昨年から海洋汚染要因のーつである、プラスチック製買物袋削減を目的に、有料化が行われました。JAおとふけでは、農業による海洋汚染を回避するため、土壌分折による適正な施肥の推進や適正施肥に向けた施肥効果試験を実施しています。
生物が生きていくには自然環境を保護しつつ産業を行うことが重要です。どれだけ産業が発展しても、生態系や自然環境が破壊されては、すべての生物の生存が危ぶまれます。
農業は生物を育てる産業なので、農村は都市部と比べ環境汚染の影響が少ないように感じますが、それでも持続的な農業を行うためには、地力確保の観点から環境への配慮が必要不可欠です。
JAおとふけでは、畑の地力維持のため、有機質肥料の導入を推進しています。また、耕畜連携の推進は、畜産農家の自給飼料の確保、耕種農家の輪作体系の維持および飼料作物の収穫残渣が有機質肥料として還元される持続可能な農業の代表的な取り組みです。
日本では見られませんが、世界ではまだ紛争・冷戦が続いており平和とは言えず、公正においてはいまだに特定の人が得をし、損をする不公平な制度が多々存在します。
JAおとふけのみならず、すべての協同組合の理念である「一人は万人のために、万人は一人をために」に則した制度・改革はこのゴールへの道標となります。
また、株の保有数が企業の方針を左右させる株主総会と違い、協同組合は一人一票制であるため、公正な組織だと言えます。
※包摂的・・・すべてを包み込むこと
1~16までの目標は、単一組織でも取り組める内容ですが、グループ組織や関係機関、行政と連携しー緒に取り組むことで、より一層目標達成に近づくことができます。
協同組合の精神に則り、JAグループが一丸となり同一の目的に向かって事業を行うことは、この目標の達成に最も貢献できる取り組みだと言えます。